国道265号線。

この名前を聞いた時にピンときた方は変態である。
なんの変哲もない道路の名前かと思うが、九州随一の酷道(こくどう)として一部変態たちの中では有名である。

酷道とは「一般の国道でありながら道幅の狭さや整備状況の悪さから、通行が非常に困難な道路」をさす俗称である。

私は普段九州の山を舞台に川の源流を目指す源流登山を行っている。
その活動の舞台にもなっている九州山地を貫く国道があると聞き、今回の探訪を決めた。

▼私の普段の活動は別のnoteで紹介しています

国道265号とは


国道265号線とは宮崎県小林市から熊本県阿蘇市を結ぶ総延長195kmの国道である。

九州の中央部の険しい山地を縫うように走り、何度も峠越えがある。
南部の宮崎県小林市付近や北部の熊本県阿蘇市付近は非常に整備された走りやすい道であるが、中央部の宮崎県西米良村や椎葉村周辺は未改良ですれ違いが困難な酷道となっている。

約200kmの行程がスタート


5月末、265号線の始点となる宮崎県小林市の「本町交差点」に降り立った。

ここから熊本県阿蘇市に向けて北上を開始する。
始めは左右に田んぼが広がる田園地帯を走る。
振り返るとこの日は霧島連山もくっきりと見えている。

265号線は小林市・阿蘇市とカルデラの街を繋ぐ路線でもある。

市街地を離れ北上


265号線はその後、段々と標高を上げていく。
目の前に進軍谷隧道が現れ、ここを抜けると旧須木村(現在は小林市に合併)に到着する。

トンネルをぬけ日本の古き良き田舎的な風景が現れる。
人口は約1200人。
村には「すきむらんど」というレジャー施設がある。

峠に差し掛かる


須木村を過ぎて265号線は一気に山の中を進む。
カーブの多い道が続き、時折り木々の合間から遠くに霧島連山がまた顔を見せる。

始点となる小林市の本町交差点出発し約1時間。
輝嶺峠(きれいとうげ)という場所に到着した。
峠の頂上には赤い鳥居が立っている。

峠を越えてここから宮崎県西米良村(にしめらそん)に向けて高度を下げていく。
しかし、目の前に通行止めの看板が現れた。

台風の影響により道が崩落しているらしい。
ここは撤退し通行止め区間を迂回しながら次の西米良村を目指す。

九州本土で2番目に人口の少ない村


迂回路を約1時間、265号線との合流地点となる宮崎県西米良村(にしめらそん)に到着した。
ここは山あいの人口987人(2025年)の小さな村。

村内を流れる一ツ瀬川に沿いながら265号線は九州山地の最深部に分け行っていく。

265号線の本領発揮


西米良村内は2車線の整備された道が続いた。
トンネルを越え村の中心部を離れると道が一気に怪しくなる。
道脇の岩盤が剥き出しになりすれ違いが困難な場所が多くなる。

次の目的地は宮崎県椎葉村(しいばそん)。
そこまでこのようなすれ違い困難な道が永遠に続く。
ナビでは九州山地の真ん中に差し掛かっている。

かろうじて崖の下に落ちることを防ぐガードレールはあるが車一台分の幅しかない道が続く。
これが国道だから驚きである。

森の中を進み続けること1時間、段々と周りの景色が見え始める。
西米良村と椎葉村の間の峠である飯干峠(いいぼしとうげ)。

どこまでも続く山の稜線が、九州山地の真ん中にいることを再確認させる。

日本三大秘境


日本三大秘境とは岐阜県の白川郷、徳島県の祖谷、そして最後の一つが265号線の途中にある宮崎県の椎葉村(しいばそん)である。
山の中を進んでいると突然と民家が現れ、急に道が2車線に整備されていることに気づく。
椎葉村の中心部に到着した。

九州山地の中央に位置しており周りの市町村からは隔絶されている。
村内の可住地面積も僅か4%しかなく、そこからも山深さが伺える。
椎葉村からは耳川の支流に沿いながら宮崎県最後の五ヶ瀬町に向かう。

日本最南端のスキー場


椎葉村から先また一つ峠を越える。
しかし道は整備されており山越えではなく、全長2,777mの巨大な「国見トンネル」を通り一気に越えていく。

トンネルを越えると南国宮崎に似つかわしくない看板が現れる。
五ヶ瀬ハイランドスキー場。
日本で最南端のスキー場であり、最長1000mの控えめなスキー場である。
しかし、宮崎で天然雪でスキーができるだけでも驚きだ。

阿蘇の外輪山を進む


九州山地を抜け夕暮れの田園地帯が広がる。
看板を見ると熊本県の山都町(やまとちょう)に入った。

青看板には終着地点の阿蘇の文字が現れ始め、この旅も終わりに近づいている。

カルデラの街に到着


夕日が西に沈みかけた18時半。
阿蘇五岳を臨む展望台に到着した。

田んぼに張られた水が夕日に反射し、なんとも幻想的な光景が眼科に広がっている。

阿蘇山の中を走り旅は終わる


265号線もラストスパート。
阿蘇五岳の一つ根子岳(ねこだけ)を通りながら高森町から阿蘇市へ抜けていく。
夕日が沈み暗闇に生える山の向こうに阿蘇市街のひかりがみえる。

阿蘇山を下り内牧温泉入口の交差点で265号線はその長い道が終わる。
あたりはすっかり暗くなりかすかに霧ががかっていた。

九州を縦に貫く265号線はここで大分〜熊本〜長崎と九州を横に貫く国道57号線と合流する。
九州の国道のヘソである。

国道265号線の現在


九州山地を貫く265号線は相次ぐ崩落により全線開通は2025年現在でもされていない。
修復は進むものの上陸する台風や豪雨が後をたたない。
今回の行程の中でも道がなくなっている箇所が何度も見られた。

しかし、険しい九州山地を貫くように国道が通したというだけでも冒険心をくすぐられる。
いつか全線開通した際にはあらためて訪れたい。

筆者の活動紹介


私は九州を舞台に「源流登山」を行っている。
源流登山とは渓流を釣り上がりながら最上流にある山頂へと登ること。

私の活動の詳細は下記のnoteで配信しているので気になる方はぜひご覧ください。

ではまた。

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